若者贅沢旅

休日、それは労働者の歓喜。この日、労働者は人間となり前向きな気持ちで未来を眺めるのである。

羽田近郊宿!横浜ロイヤルパークホテルという選択〜

時に、満員電車の20分とガランと空いた高速バスの60分が同じくらい、もしくは後者の方が短く感じることも少ないということを踏まえると、男がどこに宿を取るかという問題についてはもっと柔軟に考える必要があった。いや、そんなことを言ったところで空港のターミナルから伸びる直結型のホテルに叶うものはないのだが、それに伴うどことない味気なさを男は嫌った。明朝早く、彼は羽田空港から那覇へ旅立つ予定であった。ふと、品川プリンスを押さえとけ、スイートとまでは言わないが、、という文句が男の脳裏に浮かんだ。

「いや、品プリは好ましくないなあ」

偉そうに独り言を吐き捨てた。ロビーは、開放的でなければならないという男の宿選びの鉄則に、そのホテルは叶っていなかった。落ち着きがないこの男は、閉塞感を嫌った。天井が低かったり、あるいは窓が小さかったりするともう、子供のように落ち着きを失ってしまい、普段は謙虚に生きているものの突如として現れる横柄さに全てが飲み込まれる。そして、「狭い」だとか「窮屈だ」などと言葉を並べることで自身の不満を表現するなり、どんよりとする。すると、男は指をパチンと鳴らした。何かを閃いたことは明らかだった。

「あそこしかない!」

急に、男の顔は晴れやかになった。軽快な足取りは春の日にぴったりであった。

 海。これほど開放的なものが他にあるだろうか。どこまでも静的でありながら、しかし絶え間なく動いている海の様子を眺めることの安らぎは誰もが知るところであるだろうが、男の生きがいは皮肉なことにも”何もしない”ことであることを踏まえると、海をぼんやり眺めることの意義は異様に大きいのであった。

「お待たせいたしましたMさま。本日のお部屋は62階、スカイリゾートフロアのお部屋でございます」

キーを受け取った男は天井の高いロビーに大変満足しながら、エレベーターでぐんぐん上がっていった。ああ、やはりこの宿はいい。シティホテルに違いはないが、その重厚感に微塵も劣らぬ開放感がある。

「ああ、これだよ、、これ」

部屋の広さ、家具の調子、窓の大きさ、その先に広がる景色。全ては男の理想に適ったものであった。自らの心をどこまでも広がる穏やかな水面に合わせるようにして、彼は大きなベッドで安らかな眠りについた。以下に、彼が収めた写真の幾つかを掲載しておくこととしよう。

special thanks for 横浜ロイヤルパークホテル

 

 

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